2025.07.14
【くすりの話その②】 精神科のくすりは依存になる?

「精神科の薬は依存性があって怖いから飲みたくない」と感じ、つらい症状が続いていても受診をためらってしまう方は少なくありません。確かに、精神科で使われる薬の中には依存性のあるものもありますが、すべての薬がそうというわけではありません。
また、依存性のある薬は精神科に限らず、内科で処方される薬や市販薬にも存在します。ただ、精神科の薬に対して特に「依存が怖い」というイメージが強いのは、薬が脳に直接作用するために「脳を乗っ取られてしまうのでは」といった不安を感じやすいためかもしれません。
精神科の薬の中で依存性が特に問題になるのは、抗不安薬や睡眠薬といったいわゆる「精神安定剤」として処方される薬です。これらは長期間の使用により耐性(効きにくくなること)ができやすく、用量が増えたり、急に中止すると離脱症状がでやすいという特徴があります。
海外では、ベンゾジアゼピン系薬剤の使用は通常2週間以内とされ、基本的には「頓服(必要な時だけ使う)」で処方されます。しかし、日本ではいまだに長期間・大量に処方されているケースも少なくありません。また、内科で「軽い精神安定剤」として出されることもあるため、精神科に通っていない方でも気づかないうちに依存状態になっていることもあります。
大切なのは、こうした薬を正しく理解し、適切に使うことです。ベンゾジアゼピン系薬剤は、短期間・必要な時だけ使用するという原則を守れば、依存のリスクは大きく下げられます。また、すでに依存が生じている場合でも、他の薬や治療法を組み合わせながら、ゆっくりと安全に減薬していくことは十分に可能です。

当院では、そのようなお悩みについてもご相談もお受けしています。薬に対する不安がある方も、まずはお気軽にご相談ください。